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関西英語教育学会 2011年度 研究大会 プログラム

終了しました。多くの方のご参加を頂きまして有り難うございました。


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2011年5月8日更新

◇日程:2011(平成23)年6月4日(土) 9:00~17:45
◇会場:関西大学・千里山キャンパス 第1学舎(5号館) 交通アクセスキャンパスマップ
大阪府吹田市山手町3丁目3番35号
*駐車場: スペースに余裕がございませんので、公共交通機関をご利用下さい。
◇会費:関西英語教育学会 会員(無料) 非会員(一般2,000円、学生1,000円)
*事前申込の必要はございません。当日会場にお越し下さい。

プログラム

8:30 受付開始 【5号館4階ホール】
9:00 開会行事 【5号館4階E402教室】
会長挨拶:吉田 信介(関西英語教育学会会長,関西大学)
9:15~11:30 研究発表・事例報告(午前の部)アブストラクト
①9:15~9:45 ②9:50~10:20 ③10:25~10:55 ④11:00~11:30
11:30~12:30 昼食・休憩
※賛助会員展示販売がありますので,お立ち寄り下さい
12:30~13:50 ワークショップ  【5号館4階E402教室】
「教科書を活用して統合的な授業を行う」講師 磯田 貴道先生(広島大学) →概要
14:00~15:05 研究発表・事例報告(午後の部) →アブストラクト
⑤14:00~14:30 ⑥14:35~15:05

15:15~15:55 会員総会 【5号館4階E402教室】
16:00~17:30 シンポジウム 【5号館4階E402教室】
「数値目標至上主義の時代をどう乗り越えるか?―本当に学習者のためになる英語教育実践を続けるために」
コーディネータ・ 提案者/鈴木 寿一(京都外国語大学)
提案者/溝畑 保之(大阪府立鳳高等学校)、平尾 一成(大阪府立寝屋川高等学校)
17:30~17:45 閉会行事 【5号館4階E402教室】
閉会の挨拶 横川 博一(関西英語教育学会幹事長,神戸大学)
18:00~19:30 レセプション (「一休」法学研究科棟内)
会費:一般3,500円,学生3,000円(※当日,受付にてお支払い下さい)。

研究発表・ 実践報告 アブストラクト

研究発表・事例報告(午前の部)

①9:15~9:45 ②9:50~10:20 ③10:25~10:55 ④11:00~11:30

 第1室 【5号館2階E203教室】

① [研究発表] 語義配列準拠検索法とは何か:『コウビルド英英辞典(改訂第5版)』の場合/秦 正哲(兵庫医療大学)
(A)仮説:『コウビルド英英辞典(改訂第5版)』を対象とした検索法の場合、順序検索法より効果的な検索法がある。
(B)方法:英語辞典を検索する場合、機械的に、語義欄において第1番目に記載された語義から順に検索を行う。こうした検索法を順序検索法と呼 ぶ。<br />語義配列準拠検索法とは、語義配列の特徴を正確に理解した知識に基づいた検索法を意味する。語義配列準拠検索法は、検索容易度という概念を基盤 としている。
検索容易度とは、辞書中において、或る語彙項目が有する形式を、どの程度容易に発見できるのか、あるいは、どの程度容易に検索できるのかを意味する概念で ある。検索容易度は、形式固定度、形式認識度、アルファベット検索可否性の3点を指標として総合的に判定する。
順序検索法と語義配列準拠検索法を比較し、理論的に考察した。
(C)結果:一定の条件下において、語義配列準拠検索法の方が、順序検索法より効果的な検索法であることが分かった。
② [研究発表] 英語運用能力の測定指標の検討:学習者コーパスに基づく研究/井上 聡(神戸大学大学院生)
学習指導要領にお いては,実践的コミュニケーション能力を高めるための英語表現活動として,手紙・日記・作文等の運用活動が記されており,今後学習者のライティングを測 定・評価する教育活動が重視されることは論を待たない(山西,2011)。本研究においては,習熟度別の特徴的な傾向を測るべく,各種統計手法を援用しつ つ,流暢性・語彙的特徴・統語的特徴といった指標(杉浦・阪上・成田,2007)に関する量的分析を行った。参照したデータベースは,同一の条件統制のも とで集積された学習者コーパス(石川,2010;井上,forthcoming)である。分析の結果,高校生,大学生,英語母語話者の運用状況の差を示す 手がかりとして,単語長,語彙密度,機能語や分詞の使用傾向等が抽出された。これらの指標は,今後のライティング指導において重視すべき課題を明らかにす るであろう。
③ [研究発表] 技術英語の頻出動詞-名詞コロケーション:大規模技術英語コーパスと工業英検問題コーパスの比較/古樋 直己(大阪大学大学院生)
(A)問題設定  技術英語に頻出するコロケーションにはどのようなものがあるのか,また,そのコロケーションは素材とするコーパスによって,どのように異なっているのかを 明らかにする。さらに,各コーパスから得たコロケーションがどの程度,辞書に掲載されているのかも確認する。
(B)方法 コーパスには世界最大の技術英語コーパスであるPERC Corpus Onlineと工業英検2級の過去問題で作成されたコーパスを用いる。この2つのコーパスに出現する動詞-名詞コロケーションを抽出し,比較する。辞書に は一般英語用,技術英語用の両方を用いた。
(C)結果 最終的な結果は当日発表するが工業英検問題からは148の動詞-名詞コロケーションを得ている。また,これらのコロケーションのうち,一般英語用,技術英語用のそれぞれの辞書に掲載されているものは多くはない。
④ [研究発表] 迂言的使役動詞―make, get, and have―/羽柴 多恵子(京都ノートルダム女子大学大学院生)、松井 千枝(京都ノートルダム女子大学大学院)
学校文法で使役動 詞と言えばmake, get, haveなどを主に取り扱うのは言うまでもないが厳密的に使役動詞は語彙的使役動詞と迂言的使役動詞の二種類があり、前者は直接的使役であり後者は間接的 使役でありmake, get, haveは迂言的使役動詞と呼ばれている。まず初めに「使役とは何か」を定義した後、それぞれの性質の相違に触れて今回は主に迂言的使役動詞を取り上げ る。統語論的見解より構造、補文、受動態についてmake, get, haveの特徴を述べ、意味論的にBNC(British National Corpus)の例文も示しながら3つの使役動詞と補文の特質を明らかにする。さらに語用論的見地よりBNCのデータと映画の台本を示しながらどの様に使 役動詞が機能するのか迂言的使役動詞の本質を実証していきたい。

第2室 【5号館2階E204教室】

① [研究発表] 非英語専攻の大学生を対象とした英語学習に関する意識調査/中西 のりこ(神戸学院大学)、森下 美和(神戸学院大学)、山本 誠子(神戸学院大学)
非英語専攻の中で も社会科学系の学生は,英語をEAPやESPとして学ぶことが少なく,学習目標設定が難しい。そこで,経営学部の大学生約200名(CEFRのA2レベ ル)に対して英語学習に関する意識調査を行い,「読む・書く・聞く・話す・発音・語彙・文法」の7項目について「得意だと思う順」「伸ばしたいと思う順」 に順位をつけさせた。その結果,「話す」と「聞く」は,学生が苦手だと考えていると同時に伸ばしたい項目であり,就職先として希望している業種でも特に必 要であると考えていることが明らかになった。さらに,同一の学生に対し語順整序テストを行い,統語知識を測定したところ,英検3級レベル(中学卒業程度) の問題においても誤答が散見された。このことから,文字によるテストであっても正解するのが難しい学生が「話す」力を伸ばすためには,文法的・音韻的符号 化のトレーニングが不可欠であり,そのための教材開発が必要であることが示唆された。
② [事例報告] 効果的な指導方法の在り方を探る―生徒指導困難校における指導方法の改善―/高木 浩志(宝塚市立安倉中学校)
最近、公立中学校 では生徒指導が困難な学校が増えつつある。そのような学校では、一般の学校での指導方法では、通用しないことが多い。しっかりと生徒とのコミュニケーショ ンを取りながら、英語科の指導を進める必要がある。小学校との連携で、生徒の様子を小学校と連絡しながら、指導に当たるようにする。一方、筆者は前任校の 神戸大学附属住吉中学校で協同学習の実践を通して、生徒とのコミュニケーションを図ることに取り組んできた。本校においても、協同学習の実践を通して、英 語科の指導を進めている。基礎学力調査での生徒の学力、Q-Uによる生徒の学級での満足度を調査しながら、英語科の中で生徒が興味を持つ取り組みを考えて いる。この研究は、生徒指導困難校での指導内容について、どのような指導が有効かを生徒へのアンケート調査や指導実践を通して、明らかにしたいと考えている。
③ [研究発表]「逆向き設計」による中学生の書く力の向上に関する研究/高見 砂千(大正東中学校/大阪市教育センター)、吉田 晴世(大阪教育大学)
本研究では、まと まった文章を書く力の向上を目的として、中学生を対象に「逆向き設計」による課題を設定して実践を行い、その効果を明らかにしようとした。「逆向き設計」 とは,「知」の構造モデルに基づき,最終到達目標から遡って指導の前に評価を位置づけるカリキュラム設計論である。実践による生徒の変容をとらえるため に、課題の評価規準に対する生徒の到達度、まとまった文章を作成する力、学習意欲、のそれぞれについて、評価指標表(ルーブリック)による目標到達度評 価、生徒質問紙調査、文章作成テストにより検証した。その結果、実践後に、文章構造を踏まえて文章を作成する力と一定時間内に記述する文章の語数がともに 向上していた。また、質問紙調査の結果からは、生徒の学習意欲の向上、書くことに対する苦手意識の解消がみとめられ、生徒の課題に対する満足度が高く、継 続して課題に取り組みたいとする意欲も高いことがわかった。
④ [研究発表] Social role of writing a reflective journal: What shifts of a teacher’s perspective in the reflective journal bring about/玉井 健(神戸市外国語大学)
This case-study focuses on the way a novice teacher(Kumi) self-reports her teaching in the reflective journal writing. The research questions are as follows: How does the teacher self-report her classes in the reflective journal and how does it change over time? Through the text analysis using the framework of S-P-E-A-K-I-N-G (Hymes, 1972) and Cultural Discourse Analysis (Carbaugh, 1997), the process of the teacher’s shifts in her view toward students and her relationship with them were described. It was concluded that Kumi’s in-depth understanding with her teaching and students in later period was achieved by her expansion of reflective sources from within-herself range to such broader range as students’local contexts. The researcher interprets this as the social role of reflective journal writing to the teacher and her community.

第3室 【5号館2階E205教室】

① [研究発表] 小学校英語活動指導者養成におけるマイクロティーチングの効果―授業観察力と指導法理解に焦点を当てて―/牧野 眞貴(近畿大学)
本研究は,小学校 英語活動指導者養成授業におけるマイクロティーチング(以下MT)の効果を検証するものである。研究課題であるが,1) MTで子ども役として授業を観察することで,学生の授業観察力はどのように変容するのか,2)MT後に学生が互いの指導について意見交換することは,指導 法理解に有効に作用するのか,の2点を設定した。研究の方法であるが,MT前後に行った第1回目,第2回目模擬授業のクラスメートの指導に対する学生のコ メントを4つのカテゴリーに分類し比較分析し,最終授業ではアンケートを行った。結果,MT前の観察では授業者の話すときの態度や視線などに注目していた が,MTで学生が子ども役として授業を観察することで,次第に授業の細部まで着眼できるようになり,クラスメートの指導法の誤りや不備に気づき,その代案 を具体的に示すようになった。また, MT後の意見交換が学生の指導力向上のために有効であったことが確認された。
② [事例報告] 指導目標、授業、評価の一体化を目指して-外国語活動拠点校の取り組みから-/福智 佳代子(神戸海星女子学院大学)、山本 みのり(姫路市立広畑小学校)
文部科学省中央教 育審議会において,「児童生徒の学習評価の在り方についての報告(2010)」がとりまとめられている。小学校英語活動についても、「設置者において,学 習指導要領の目標及び具体的な活動等に沿って評価の観点を設定することとし,文章の記述による評価を行うこと」とされ、その位置づけも評価も明確にされて いる。外国語活動拠点校・広畑小学校では、指導目標、授業、評価の一体化を目指し、評価目標・評価規準を作成し、その内容分析を行ってきた。本報告では、 (A)1.児童自身が評価するふりかえりカードの達成感の分析が授業に対する評価となり得ること、2.各活動の相関の分析が、指導目標及び到達度設定に フィードバックされうることを、(B)児童自身が自己評価をしてきたふりかえりカードの結果から達成感と相関を分析し、(C)次年度の年間計画、ふりかえ りカードの内容、指導目標・到達度・評価規準に反映してきた取り組みを事例報告として紹介する。
③ [事例報告] 日本語母語話者の英語音声認識:World Englishesの観点からの調査研究/片岡 晴美(関西大学大学院生)
近年、日本企業の 中にも社内公用語を英語に規定するなど、English as a Lingua Franca (ELF)としての英語、またWorld Englishesなど多様な英語が出現しており、これらの動きに対応する英語教育が今後日本の教育現場でも求められると予想される。高等学校の検定教科 書にも、World Englishesや人工合成音声(TTS)に言及した内容が記載されている。しかし検定教科書の付属音声教材CDには、World EnglishesやTTSの音声は入っていない。そのため具体的にどういう英語音声なのか、学習者には分らない。そこでWorld EnglishesやTTSを含む英語音声教材を作成して高校2年生64名に提示し、英語音声認識調査を行った。その結果、綺麗な英語音声とは英語を第一 言語とする国の英語であるという固定観念を持っている傾向があるということが明らかとなった。
④ [事例報告] 高校生へのシャドーイングの段階的指導法―アウトプットへの有効性―/大塚 智恵
3年間にわたり、 公立高校1、2年生の英語?、英語?の授業で、英語の4技能を統合的に取り入れた学習を目指してシャドーイングの指導を導入してきた。特に、シャドーイン グの練習によって教科書の本文の内在化に効果があるのか、さらに、アウトプット力の向上に有効であるかという点に着目した。指導後にライティングテストを 実施し、シャドーイングの導入頻度による影響やシャドーイング指導を行わなかったクラスとの比較結果からも、シャドーイングが英文の内在化やアウトプット 力の向上に有効であることがわかった。高校生EFL学習者へのシャドーイングの段階的な指導法から、学習者の英語内在化に対する有効性の考察、一連の学習 後の生徒からのフィードバックなどについて、報告する。

ワークショップ 概要

ワークショップ 12:30~13:50

【5号館4階E402教室】
「教科書を活用して統合的な授業を行う」/講 師 磯田 貴道先生(広島大学)
このワークショップは、模擬授業のような形式で、私が実際に行っている授業を皆さんに体験していただきながら、統合的な授業について考える場としたいと思 います。教科書にある文章ひとつから、読む・聞く活動、語彙や文法を学ぶ活動、覚える活動、話す・書く活動を作る方法を紹介します。それらの活動を体験し ていただくことで、なぜ統合するのか、何を統合するのかということなどについて考え、活動の背景にある原理を紹介します。

研究発表・ 実践報告 アブストラクト

研究発表・事例報告(午後の部) ⑤14:00~14:30 ⑥14:35~15:05

第1室 【5号館2階E203教室】

⑤ [研究発表] 「心理軸」の導入による仮定法の視覚的・包括的な指導方法について/池田 和弘(大阪観光大学)
(A)仮定法の、 視覚的で、包括的な解説を試みた。これまで、教育の現場では反事実に焦点をあて、Ifからはじまる一種の公式を使った解説が行われるケースが多かったが、 これでは非現実的な想念や婉曲表現を効果的に解説できず、また柔軟な応用も難しい。近年になって、過去形は「現実からの距離も表現できる」、「遠く離れた ものを眺める意識を表現している」といった解説方法が提案されているが、前者では想念を時制のバックシフトという時間的な枠組みの中でとらえており、ま た、後者では客観的論拠にやや乏しいため、明快さに欠ける解説となっている。(B)本研究では、時間を物理的に実在する距離として時間軸を設定し、さらに それに直交する形で、「心理軸」というものを想定して、現在と現実を原点としたふたつの距離、時間的距離と心理的距離、による解説を試みた。(C)客観的 なデータはないが、生徒から高く評価する感想を得ている。
⑥ [研究発表] 演劇的手法を用いた言語教育の意義― Henry Caldwell Cook による Play Way と Drama in Education との比較/依田 真奈美(同志社女子大学・非常勤講師)
演劇を言語教育の 効果的な手段として使うために、イギリス演劇教育から、その意義を考察する。20世紀初頭に、国語(英語)教育に演劇を取り入れた Cookの独自の教授法 Play Wayと、後に発展した、全教科を教える手段としてドラマを用いるDrama in Education (DIE) をその基本的理念において比較する方法を取る。DIEはドラマの手段化に専心し、演劇教育の初期のパイオニアたちが持っていた演劇観を見失うことで、演劇 的手法を教育に十全に取り入れられなくなった。これに対して、Cookは演劇の本質を見定めた上で国語教育にそれを用いた。人間存在の演劇性ついての彼の 考えが、その基盤にあったからである。Cookから学ぶべきは、言語教育においても、演劇的な人間存在に関わるものとして言語を捉え、演劇をその本質を把 握した上で、外国語を含めた言語教育に使う必要があるということである。

第2室 【5号館2階E204教室】

⑤ [研究発表] 「中学生への英語多読の効果について」―語彙・読解・学習動機への効果―/下川 正美(京田辺市立大住中学校)
近年、多読指導を 受けた高校生の英語を読むスピードや読解力の向上、また生徒の多読への動機づけの変化に関する研究報告がなされている。しかし、多読指導が中学生の英語力 や学習動機に及ぼす効果に焦点を当てた研究は少ない。本研究は中学2年生を対象に1学期間週1回15分間多読指導を行い、多読指導が中学生の語彙、読解力 に与える影響、多読への動機づけの変化を調査、研究したものである。結果、多読量と点数には交互作用は見られなかったが、語彙、読解力に関しては、事前テ ストと事後テストを比較したとき、有意差が見られた。多読への動機づけに関しては外発的動機、内発的動機などに高まりが見られた。また、中学校に入学以前 に小学校、幼稚園、保育園などで英語の絵本の読み聞かせをしてもらった経験を持つグループは、経験の無いグループと比べると多読量に差があり、Pre- reading experienceが中学校での多読に影響を与えることが示唆された。
⑥ [研究発表] 日本人中学生のスピーキング力向上に対するTPR及びTPR Storytellingの有効性に関する実証的研究/黒川 愛子(久御山町立久御山中学校)
本研究は、TPR に加えてTPR Storytelling(以下TPRS)を活用した場合に、どのような成果があるかを探求する筆者による一連の研究の一部である。今回は、「TPR及び TPR Storytellingの活用は、日本人中学生のスピーキング力向上に有効である」という仮説を立て、中学2年生から3年生1学期までの時期にTPRに 加えTPRSを活用した授業を行い、同じ時期に伝統的な文法訳読式の授業で学んだ生徒(以下、対照群)との比較を行った。基本文型を使った英文を発話して いく個別面接のスピーキングテストを実施した結果、TPR及びTPRSを活用して学んだ生徒(以下、処置群)は、テスト実施時期が対照群より7ヵ月早かっ たにも関わらず、処置群の方が対照群よりもスピーキングテスト結果は有意に優れていた。この結果は、小学校外国語活動からのスムーズな接続という点で、中 学校での指導のあり方を示すものと考えられる。

第3室 【5号館2階E205教室】

⑤ [研究発表] シャドーイング学習時における脳内言語処理メカニズムの解明-NIRSによる 脳内血流・酸素交換変化計測実験を通して-/望月 肇(国立弓削商船高等専門学校)
本研究では英語学 習法として注目を集めているシャドーイングに焦点を当て,シャドーイング学習時における脳内言語処理メカニズムを解明すること,とりわけシャドーイング学 習中に活性化する脳内部位の特定ならびに初出条件(学習していない英文)と既学習条件(学習した英文)でのシャドーイング学習中に活性化する脳内部位の違 いの特定を目的として,NIRSによる脳内血流および酸素交換変化計測実験を,被験者1名(女性,30歳代前半,留学経験・英語専門教育経験なし,英検2 級取得)を対象に実施した。実験課題はリスニング,シャドーイング,リピートの3課題,それぞれ初出条件,既学習条件に分け,合計6課題の計測実験を行っ た。各課題とも開始から30秒間の休憩,各学習を3回繰り返して行った。計測実験の分析の結果,リスニング課題では既学習条件において左聴覚野の酸素消費 の増加が見られた。リピート課題では聴覚野と運動性言語野(ブローカ野)の酸素消費が聴取時と発話時と異なった。シャドーイング課題では,聴覚野と運動系 領域において同時に酸素消費されており,両者の繋がりを強化している可能性が考えられる。
⑥ [研究発表] 言語産出における統語処理能力向上の可能性:統語的プライミング実験に基づく検討/森下 美和(神戸学院大学)
日本人英語学習者 の言語産出能力の欠如は,語彙知識はあっても,それらを即座に正しく組み合わせて文を作ることができず,低次の統語処理が困難であることが大きな原因と考 えられる。本研究では,統語処理能力を伸ばすことにより,迅速且つ正確な文産出ができるようになる可能性を探った。4クラスの大学生を上・下位群/実験・ 統制群に分け,実験群には授業開始時に約10分間,統語処理のトレーニング(語順整序問題)を行った(全9回)。事前・事後テストとして統語的プライミン グ実験(文完成課題)を行い,プライミング効果を比較したところ,下位実験群のみに事前・事後テスト間で有意な伸びが見られ,習熟度の低い学習者ほどト レーニングによって統語構造に敏感になる可能性が示唆された。また,事後テストと遅延テスト(2か月半後に実施)の結果を比較すると,上・下位実験群とも に有意な変化は見られず,学習効果が持続していることが分かった。

交通アクセス

● 大阪(梅田)からのアクセス
阪急電鉄「梅田」駅から、千里線「北千里」行で「関大前」駅下車(この間約20分)、徒歩約5分。または京都「河原町」行(通勤特急を除く)で「淡路」駅下車、「北千里」行に乗り換えて「関大前」駅下車。
● 京都(河原町)からのアクセス
阪急電鉄「梅田」行で「淡路」駅下車、「北千里」行に乗り換えて「関大前」駅下車、徒歩約5分。
● 地下鉄利用のアクセス
地下鉄堺筋線(阪急電鉄千里線に相互乗り入れ)が阪急電鉄「淡路」駅を経て「関大前」駅に直通しています。
● 新幹線「新大阪駅」からのアクセス
地下鉄および阪急電鉄利用
JR「新大阪」駅から地下鉄御堂筋線「なかもず」行で「西中島南方」駅下車、阪急電鉄に乗り換え「南方(みなみかた)」駅から「淡路」駅を経て「関大前」駅下車(この間約30分)、徒歩約5分。
● JR京都線(東海道本線)利用のアクセス
JR「吹田」駅下車の後、阪急バス「JR吹田北口」停留所から「関西大学」停留所下車(この間約7分)、徒歩約7分。
※会場の第1学舎へは、阪急「関大前駅」を利用して関大正門から会場に向かうルートがお勧めです。「JR吹田駅」ではなく「JR新大阪駅」下車にて地下鉄御堂筋線および阪急電鉄利用のアクセスを強くお勧めいたします。
● 大阪(伊丹)空港利用のアクセス
大阪モノレール「大阪空港」駅から「門真市(かどまし)」行で「山田」駅下車、阪急電鉄に乗り換え「関大前」駅下車(この間約30分)、徒歩約5分。

関西大学千里山キャンパスマップ

阪急電鉄千里線「北千里」行で「関大前」駅下車
正門を入って,左方向へ坂をあがってお進み下さい。
番号1の建物が会場の第1学舎です。

関西英語教育学会 2011年度 研究大会 プログラム のダウンロード

研究大会プログラム(PDF)
2011年5月8日更新
※ご自由にご掲示・ご配布ください

研究大会に関するお問い合わせ先

関西英語教育学会事務局 横川 博一(神戸大学)
〒657-8501 神戸市灘区鶴甲1-2-1
E-mail: yokokawa@kobe-u.ac.jp
※お手数ですが@マークを半角文字に置き換えてください。

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